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movie labo|映画研究の準備12の段階「ヒーローズ・ジャーニー」とは

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こんにちは。
mone(@mone_creator)です。

今回のmovie laboは前回に引き続き導入編です!

mone
mone
前回のmovie laboで気になったワード出てきたんだよね……
pon
pon
気になったワード?
mone
mone
「同じ12の段階を踏んでいる」って……。
12の段階ってなんぞ!?ってなったんだけど、ポンはならなかったの!?
pon
pon
サラっと流してしまったよ〜
akira
akira
話が長くなると思ってサラッと流した。今回はその12の段階の話をしようと思う。
12の段階を意識した記事をmovie laboでは書いていくので、映画の研究記事を始める前に導入として1記事書かせて。
mone
mone
よろしくお願いします!!

今回は、movie labo内でキーワードになるであろう「12の段階」のお話です。

映画
movie labo|映画の「面白い」とはこんにちは。 mone(@mone_creator)です。 なんと今回、monecre初の寄稿者の登場です。 ...

12の段階「ヒーローズ・ジャーニー」

「スター・ウォーズ エピソード4」が公開し、世界的な大ヒットを記録したのは1977年。

監督・脚本を務めたジョージ・ルーカスは84年のインタビューにて、

 

彼の本に出会っていなければ
私はいまだに
スター・ウォーズ・シリーズの脚本執筆に
追われていただろう

 

と語っています。

 

その彼とはジョーゼフ・キャンベルという神話学者です。

ジョージ・ルーカスが読んだ本「千の顔をもつ英雄」にはキャンベルが神話を分析して発見した「普遍的に人類の心をとらえる英雄物語の基本パターン」が書かれていました。

 

それこそが、前回示した12の段階「ヒーローズ・ジャーニー」なのです。

普遍的に人類のこころをとらえる、なんてことがあるのでしょうか。

 

「ヒーローズ・ジャーニー」を発見したキャンベルの考え

キャンベルの考えは、心理学者のカールユングと似たところがあります。

ユングは自分の診ている患者の夢や妄想の人物は、神話の一般的な登場人物と非常に似ているということに気づきました。その登場人物は人の思考のさまざまな側面を反映したものだと言っています。

そしてそれらはどちらも人の心のさらに深いところからやってくると考え、その源を「集合的無意識」と呼んでいます。

なんだかオカルトっぽい話になってきましたが、『映画の「面白い」とは』でも書いた通り、「異国の映画を観ても僕たちは感動してしまう」と考えると、なんだかありそうな気がしてきますね。

それでは「ヒーローズ・ジャーニー」を確認してみましょう。

ヒーローズ・ジャーニー 外面的な旅

「千の顔をもつ英雄」をそのまま使うのはちょっと難しく感じるので、さらにわかりやすく解説している「物語の法則」という本から引用します。

「物語の法則」の著者はクリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケイ。

ボグラーは「千の顔をもつ英雄」を短くまとめた実践ガイドを作り、それはディズニーの「アラジン」や「ライオンキング」にも使われたといいます。

「ヒーローズ・ジャーニー」は次のように進みます。

 

1. 日常世界

落ち着きがない、場になじめない、もしくは世界に疎いヒーローが、彼のいる状況もしくはジレンマに観客が共感できるような形で紹介される。

ヒーローは、環境や伝承、自分の育ってきた背景に反するような人物として登場する。ヒーローの人生には何かしらの対立図式が存在し、違う方向にヒーローを引っ張っていて、ストレスの原因になっている。

2. 冒険へのいざない

外部からの圧力、または内部の深いところから生じた何かが状況を揺り動かし、ヒーローは変化の始まりに直面させられる。

3. 冒険の拒否

ヒーローは道のものに恐れを感じ、一時的に冒険から逃れようとする。かわりに別のキャラが、不安感や先行きのあやうさを主張することもある。

4. 賢者との出会い

ヒーローは世界を旅する年長者と出会い、訓練や必要な道具、旅の助けになる助言などを受ける。もしくは、ヒーロー自身が自分の内部に勇気や知恵の源を見出す。

5. 戸口の通過

物語の第一幕の終わり。ヒーローは日常世界を去り、なじみのない決まり事や別の価値観の存在する新しい領域や環境に入っていく。

6. 試練、仲間、敵

ヒーローが特別な世界で試練に遭い、忠誠を学ぶ。

7. 最も危険な場所への接近

ヒーローと新たに見つけた仲間が、特別な世界での最大の試練に向け、準備を整える。

8. 最大の試練

物語の中盤、ヒーローは特別な世界の中心に入っていき、死、もしくは最大の恐怖に直面する。死の瞬間から逃れることで、新しい人生がやってくる。

9. 報酬

ヒーローが死と直面して勝ち取った宝を手にする。祝祭が行われる場合もあるが、再び宝を失う危険が迫ることもある。

10. 帰路

物語の4分の3ぐらいの場面。ヒーローは冒険を完了させ、特別な世界を去り、宝を持って故郷に引き返す。敵に追われ、切迫した危険な場面となることも多い。

11. 復活

クライマックス。ヒーローは故郷の戸口で再び厳しい試練に直面する。もう一度犠牲を払うことで再び死と再生の瞬間を迎え、それによって身を清めたヒーローは、今度はさらに高い次元の人間として完成される。ヒーローの行動により、物語の始まりからあった両極の対立も、ようやく解消される。

12. 宝を持って帰還

ヒーローは成長をとげ、世界を変える力がある宝を持って故郷に戻るか、そのまま旅を続ける。

 

がちがちのファンタジーみたいな言葉が出てきますね。

このパターンはあくまで象徴ととらえて、特別な世界とはこの場合どれなのか?などと当てはめて考えていきます。

そしてこれは骨組みであって、絶対にこの通りでないといけないわけではありません。

それぞれの物語で抜けていたり順番が変わったりもします。

大事なことは神話を分析していくとおのずとこのパターン通りに作られており、それは現代に作られている物語も例外でない、ということなんです。

このパターンが先にあるわけでなく、物語を分析した結果、どれもこのパターンに通じている。というのがとても不思議なんですね。

しかしこれはあくまで外的なパターンです。

外的とは、現実的な目的のこと。事件を解決する、敵を倒す、恋人になる、など。

 

これだけの物語では、なんとなく盛り上がったなあ、楽しかったなあ、とあっさりした印象で終わってしまいます。

 

ヒーローズ・ジャーニー 内面的な旅

人の心を感動させる物語には、主人公の心の旅も必要なのです。
これもまた、「ヒーローズ・ジャーニー」の別バージョンで示すことができます。

  1. 日常世界に住んでいる主人公は、最初は問題への認識が不足しており、もはや効果のない戦略を使ってなんとかやっていこうとしている。
  2. 冒険への誘いを通じて主人公の認識が高まり、すぐにも変化が必要だということを自覚しはじめるが、そのためになにをしたらいいのかまだわからない。
  3. 未知のものに直面したことへの自然な反応として、変化に対する恐れや抵抗の気持ちが生じる。主人公は一時的に無力になるか否認に走る。正しい行動をしたい気持ちも、疑いにかきけされてしまう(冒険の拒否)
  4. 主人公が知恵を手に入れられる場所や自分の心の強さを見つけだし、恐れに打ち勝つ(賢者との出会いに相当)
  5. 励まされ、あるいは状況に強いられ、主人公に変化が起き、心の戸口を通過する。
  6. 主人公はさらに心の深い場所に踏み込み、心の内の特別な世界でやっていくこつを覚え、新しい環境で実験を試み、自分の力を試練にさらす。また、自分の内面世界における仲間や敵がなんなのかを知っていく。
  7. 外面的な旅で、最も危険な場所へ接近しつつ、内面的にもさらに深い感情を探り、困難で恐ろしい何かに対峙するための解決策を考え、大きな変化への準備を整えていく。
  8. 現実の最大の試練と進行して、生死の境に直面し、心の大きな変化が起きる。古い自己認識は、極度のプレッシャーによって消える。幻想が壊れるが、その激動や破綻のなかから、新しい自己の概念が生まれる。
  9. 実際の報酬を手にするとともに、主人公は内面的にも新しい人生の意義を受け入れ、愛情や絆に喜びを感じたり、心の変化がもたらした結果を認識するようになる。
  10. 現実の帰路で、主人公は内面においても避けがたい試練を与えられ、再び新たな挑戦に取り組まなければならない。実際の追跡・救出劇は、心の誘惑や、古い行動パターンに戻ろうとする心理、主人公の変化を防げる予期せぬ新しい試練の象徴になっていることもある。主人公の新しい姿を世界が受け入れようとせず、古い環境に戻らせようとしている場合もある。
  11. 主人公の外面的な変化や復活は、主人公に変化を取り組み続けようとする意志の表明だが、内面の物語を悲劇に変えようと、最後の危険がまちかまえていることもある。
  12. 主人公が現実の問題を乗り越え、感情的な問題にも成長を示し、勝利をおさめる。または、聖なる婚姻を経て、敵対していたパーソナリティが調和やバランスをもたらしてくれる。

「物語の法則」では、この二つの旅はともに機能しあうものと示しています。

外面的な旅の中で、主人公は自分の中のなにかが足りないことに気づき、それを得て、外面的な旅を達成させる。もしくは、外面的な旅を経て、内的なものを得る。のかもしれません。

同じシーンで内面と外面を同時に示すこともあれば、それぞれ独立したシーンで示すこともあります。

 

三幕構成

そしてもう一つ大事なものが時間のバランスです。

例えば、120分の映画で100分に事件が解決。
残りはその後の生活、なんて映画があったらどうでしょう。おそらく残りの20分がとても退屈に感じてしまうはずです。

反対に、60分くらい日常の話が進んでからやっと進展があるような映画もつまらなさそうですね。

必要な段階を必要な時間に割り振るのも、とても大切なことです。

これをわかりやすくするために、「三幕構成」を使います。

 

映画をおよそ1:2:1に分け、それぞれ第一幕、第二幕、第三幕と呼びます。

これに「ヒーローズ・ジャーニー」を当てはめると、

第一幕

日常世界→冒険へのいざない
→冒険の拒否→賢者との出会い
→戸口の通過

第二幕

試練、仲間、敵
→最大の試練→報酬

第三幕

帰路→復活→宝を持って帰還

という風に分かれ、これが基本パターンとなります。

 

なんとなくですが、

第一幕で状況設定、第二幕でたくさんの障害を乗り越え、第三幕で主人公は生まれ変わり解決させる。

みたいなイメージでいいと思います。

 

そしてそれぞれの幕のつなぎめには、これまでの物語から新しい方向へと転換させる出来事が起きます。

それを第一ターニングポイント、第二ターニングポイントと呼びます。

ターニングポイントとなる出来事はもちろん映画によって違うため、研究の中で具体的に示したほうがわかりやすいと思います。

 

さいごに

外的な「ヒーローズ・ジャーニー」と内的な「ヒーローズ・ジャーニー」、そして「三幕構成」。

はたして「面白い」映画はこれらに当てはまるように進んでいるのでしょうか。

駆け足で説明ばかりの記事になってしまいましたが、次回からこの3つの道具を使って研究・「ラボ」っていこうと思います。

 

– fin –

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ABOUT ME
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akira
1990年生まれ。SNSとは無縁の人。 映画を、物語・シナリオの側面から、深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。